7月8日(木)雨のち曇り 羽田空港→千歳空港→稚内フェリーターミナル


 今から10年ほど前、当時所属していたツーリングクラブで知り合ったユキコちゃんと、バイクで北海道を一周したときのこと。

 パーキングで休憩中に話した男の子が、「利尻島に渡って、日帰りで利尻山に登ってきた」とさもなんてことないように言ったのが印象的だった。バイクならバイク、山なら山と一つのことしか考えられない私にとって、彼の気軽さがなんだかとても眩しく感じられたのだ。

 あれ以来、いつか利尻山に登ってみたいと思っていたのだが、今回ANAの「超割」が取れたのを機に、「誕生日なのに・・・(あんまり好きでもない登山なんて)」とブツブツ言う夫を引っぱって、ついに出かけることにした。


道の駅「鰊番屋」のトイレの裏にもお花畑が

甘エビラーメン初体験!

いたるところで風力発電を見かける

 海に浮かぶ利尻山頂から眺める360度の紺碧の世界。考えただけでもシビレるくらい楽しみにしていたのに、なんてこと!ちょうど私たちが出かける4日間だけ、雨の予報ではないか。それも利尻山に登る予定の2日目が一番悪い。梅雨のない北海道だからまったく心配していなかったのに、なんという間の悪さ!

 こんなときに限って予報は当たり、どしゃぶりのなかを千歳空港に降り立ち、すっかり諦めムードで稚内までレンタカーを借りる。ツーリングのときに印象的だったオロロンラインを、海の向こうに利尻山を眺めながら走るのを楽しみにしていたのに、これじゃ叶うべくもなさそう。羽田より10数度気温が低く、涼しいのだけがせめてもの救いだ。

 「がっかり〜〜」を連発しながら高速を飛ばしていると、留萌に出る手前くらいから雨が上がり始めた。それでも曇天だし、「さすがに利尻は見えないだろーなー」と沈んだ気持ちで羽幌町の道の駅で甘エビラーメンをすすり、さらに北上していくと、んっ?なんか遠くの雲の上に角のようなものが出ている。も、もしやっ!

  
(左)人気がなくちょっと恐い感じのパンケ沼   (右)あたりには花菖蒲が咲いていた


花は終わっていたサロベツ(クリック)

かろうじて咲いていたトキソウ

食虫植物のモウセンゴケ

 それは、近づくにつれみるみる雲のベールをはがしていった。まぎれもなく利尻山だ。曇りなのに独立峰の全容が拝めるなんて、なんだか狐に摘まれたような感じ。すごいなー!きれいな形だなー!本当に登ってみたくなる山だなー!と感動しながらサロベツ原野のいたる場所から眺め、豊富温泉でひとっ風呂浴びた後、本日の宿、稚内フェリーターミナル内にある民宿旅館「おもて」へ向かった。

 ところで、豊富温泉の「ふれあいセンター」では大恥をかいてしまった。お湯に油膜が広がり耐え難い刺激臭を発していたので、ボイラーが壊れたのではと思った私は親切心のつもりで、「女湯の方に、ガソリンのようなものが混じっていましたよ」と番頭さんに耳打ちしたのだ。すると番頭さんは一瞬変な顔をして、「あれがここの湯の特徴なんですよ。皮膚病に効くというんで、湯治客はみんなこうやって皮膚にすり込んでいますよ」と腕をゴシゴシして見せた。ああ、そんなこととは知らず1分で出てしまった私。稚内に着くまで、思い出しては「恥ずかしい〜〜」を連発していたのでした。 次の日の日記へ


     
(左)ピラミダルな利尻岳         (右)一応ウニが付いて6,875円也
フリー素材:伸びるライン画像
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