まず、日頃の没入特性の頻度に関する調査対象者の傾向を知るために、フロー特性尺度および各下位尺度、ピーク特性尺度の得点の傾向を以下に示す。表示は、頻度が高い人(平均4点以上)の割合、頻度が低い人(平均2点以下)の割合と、その中間の人の割合である。

 フロー特性尺度35項目の全体の平均は3.35であるが、平均4点以上の頻度の高いグループは14%であった。これに対して、ピーク特性尺度5項目の全体の平均は2.30で、平均4点以上の人は7%にとどまり、逆に平均2点以下の頻度の低いグループは半数近くにのぼった。

 このことは、没入体験がしばしば、あるいはいつもある人はそれほど多くなく、特にピーク体験については半数近くの人が、めったに、あるいはまったくないことを示している。


<フロー特性尺度とピーク特性尺度の得点の傾向>


 次に、フローの9つの特徴それぞれの日頃の頻度を検討したところ、2人に1人がしばしば、あるいはいつも時間感覚が変化し、目的をもって行動していることがわかった。また、4割の人がしばしば、あるいはいつも強く集中し、行為自体を楽しんでいることが示された。ところが、3割近くの人が自分自身をふりかえらなくなることはめったにない、あるいはまったくないと感じており、他の性質に比べて内省的自意識の喪失は日頃起こりにくいことが示された。 


<フロー特性尺度の下位尺度の得点の傾向>
※「時間感覚の変容」の全体の平均 3.72
  「明確な目標」の全体の平均 3.60  
  「注意の集中」の全体の平均 3.68
  「自己目的的経験」の全体の平均 3.56
  「行為と意識の融合」の全体の平均 3.27
  「明確なフィードバック」の全体の平均 3.28
  「機会と能力のマッチング感」の全体の平均 3.19
  「行為の統制感覚」の全体の平均 3.13
  「内省的自意識の喪失」の全体の平均 2.71


 次に、性別、年齢、職業の有無、活動の経験年数、および活動内容(上位10位)によるフロー特性尺度およびピーク特性尺度の平均得点の差を比較した結果、統計的に有意な差がみられたのは、ピーク特性尺度における活動内容による差のみであった。

 活動内容により差があったのは、「観賞・鑑賞活動」と「パソコン」、「ゲーム」の間、および「楽器演奏・歌唱」と「ゲーム」の間であった。これは、ゲームやパソコンによる没入頻度が高い人は、その他の活動による没入に比べてピーク体験が起こりにくいことを示している。


<活動内容による得点の比較>
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