大久保由美子のメール新聞〜カナダからの手紙 vol.7
「人生は短い方が幸せ」
私は常々そう思っています。
「人生は短く感じた方が幸せな証拠」
と言った方がいいかもしれません。
楽しい時って、時間が過ぎるのが異常に速く感じると思いませんか?私は山を登高している時が、一番時間が短く感じます(しかし、降りる時は長く感じますが)。集中して無心になっているからだと思います。こういう時間は後で心に充足感をもたらしてくれます。ということは、”無我”=”無意識に楽しい”という図式が成り立ち、そんな時間が多ければ多いほど人生豊かなものになるのではないでしょうか?
皆さんはどんなときが一番時間が短く感じますか?
さて、今週4月17日から22日はコース・ブレイクで、みんなそれぞれ休暇を楽しむため、ちりぢりになりました。両親や恋人の元に返った者(ヒッチハイクで帰った者までいた)、スキー登山をしに行った者、他の町へ観光に行った者、ACCでブラブラする者。急に静かになり、少し淋しいような気もしますが、ホントのところ、12年も1人暮らしをしていると、ホッとしてしまいますね、やっぱり。
私はというと、もう1人の日本人と組んで登山をする予定でしたが、今年の冬は雪が多く、スキーが必要ということで、
「スキーならもういいや」
と、彼はカルガリーに行ってしまいました。カナダは、この時期1人で登れる雪山はあまりないようです。仕方ないので、近くのゲレンデでフリークライミングをしたり、数少ない、トレールから雪の消えた山をデイハイクしたり、お隣の町バンフでスキーをしたりして過ごしました。
バンフでは、しみじみキャンモアの良さを実感。シーズンオフだというのに町は日本人であふれかえり(特に若い女の子)、日本語が飛び交っています。物価も20〜30%は高く、泊まったYWCAのドミトリーは病院のようで、6〜7割は日本人。かの巨泉のOKショップもあります。
それでも数kmも歩けば雷鳥やリス、エルクやムースに会えるところは、さすがカナディアンロッキー。彼らは好奇心旺盛で、近くまで行っても逃げずにジッとこちらを見ています。クマにこれをやられると困るので、時々奇声を発しながら歩きます。たまに、風に乗って獣臭い匂いがすると、ゾッとして更に雄叫びを上げます。知らない人が見たら、タダの危ない人ですね。
スキーは「サンシャイン・ビレッジ」といって、最高標高2,730mまでリフトで行け、5月下旬まで滑れる、大きなゲレンデに行きました。なかには、「DELIRIUM DIVE(精神錯乱ダイブ)」という、とてもコースとは思えぬエクストリームスキーヤーのためのただの急雪壁もありましたが、さすがに1本もシュプールは見当たりません。行きのシャトルバスの運転手さんや、午前中受けたスキースクールの先生は、ともに年輩のふっくらしたおばさんで、カナダの懐の広さを感じます。
バンフは温泉で栄えた町でもあり、さっそく私も身体のオーバーホールをしに行きます。水着を着なければならないのは、ちょっと妙な感じもしますが、ずっとシャワーだったので、疲れをじっくりほぐしていたら1時間半も使ってしまいました。
そして、ついにカツ丼を食べることが出来ました。日本で食べれば、フツーのカツ丼ですが、久しぶりなので極上の味に思えます。私は日本でも山から下りると、必ずカツ丼が食べたくなります。
最終日、ボツボツとみんなが集合し始め、アカペラやラップや雄叫び、「ユーミネーター」という私のニックネームが聞こえ出しました。またまた学生寮のような賑やかな日々が始まります。
次回はカヌーセクション。